環境
2019年12月31日(火)
小松左京の長編小説に「虚無回廊」(残念ながら絶筆)というのがあるんですが、AIならぬAE(Artificial Existence:人工実存)が量産されようとしている未来の話です。
人工実存とは主体性(個性や判断力も含まれる)を持つ人工知能と言うんでしょうか。
そういうことなら映画「ターミネーター」に出てくるスカイネットもAIと言うよりAE。
現実世界のAIはあくまで人間が課題を課した上で考え結論を出すことしかできませんが、それでも最近の報道で17世紀ごろの天体情報を入力したところ「地動説」を「発見」したとか、絶筆の小説の続編を書かせるとか(まさに「虚無回廊」がそのプロジェクトの対象になっているとか)、いずれそうなるだろうなとは思っていましたが、想像以上に早いスピードで発達しつつあるようです。
12月初旬の日経新聞にAIが人事の面でも使われていると言う記事がありました。
採否の判断に使われたり、労務管理に使われたり。
採否判断についても、質問に対する答え(答えの内容と答え方)からAIが判断したり、顔写真で判断するものもあるようです。
顔写真で判断するのは過去集積した顔写真データから、将来成長するかとか、能力の有無とか判断するらしいのですが、的中率が80%とか。
この80%と言う数字、皆さんはどう見ますか?
20%はデータ不足と AIの今後の学習次第ということなんでしょうが、私の考えでは(AIならぬ私の脳みそなんであまりあてになりませんが)後はせいぜい10ポイントあげるのが一杯一杯かと。それでも90%にはなるわけでそれなりの数字ですが、残り10%はAIの見込み違いで採用を見送られたり、期待高めで採用されたりするわけですから、結構大変な数字かなと。
顔写真からの判断なわけですから、そこには環境という要素が全くないわけです。環境とは被写体のこれまでの環境というより、これからの環境、つまり雇用する組織そのもの(人やハード面、ソフト面含めて)や取り巻く社会そのものの要素が考慮されていませんから、そういう部分が変動して的中率にかなりな影響を与えるのではないかなと。
長いこと採用活動をやっていても、予想外の結果を見る事が少なからずあります。予想外の結果といっても殆どが採用した結果がどうなったかで、採用しなかった人がどうなったかはわかりませんが。
予想外の結果といっても2通りで、期待以上か以下かとなるわけですが、いずれにしろ私の見る目がなかったことに違いありませんが、見る目以外の要素としては学生と雇用のマッチングの影響が大きいと思います。
どれほど優れた学生でもロクでもない組織に入れば成長するのは難しいですし、組織はしっかりしていても、彼と直接関わる上位者(先輩や直接の上司)がダメダメならやっぱり成長は期待できません。
逆もまた真なりで、どれほど期待できない人物でもとても良い組織や、よい上位者に恵まれて成長する可能性がないとも言えません。
それだけでなくその人にとってどれだけ良い機会に恵まれるかということも大きいようです。
就活生の顔だけではこれから待ち受ける環境の事まではいかなAIでも知る由も無いでしょうし、見方によってはその後の教育の良し悪しで人は決まるという部分も多分にあるかなと。
大晦日駆け込みでのブログでした。
明日は元旦なので、いつも通りブログアップする予定です。
初日の出拝めますかね。
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