京都大原記念病院グループリハビリスタッフのあんなことこんなこと

あんなこと

橋本

なるのは簡単?

2012年3月30日(金)

今日は理学療法士、作業療法士の国家試験発表の日でした。当院でも3名の人が涙を飲む結果となりました。

彼ら3人にはこれから1年試験勉強という日々が待っています(あきらめなければですが)

 

話はちょっと変わりますが、

1988年公開の映画「プレシディオの男たち」。大ヒットと言うことはないんですけどショーン・コネリー、メグ・ライアンなんかが出てて、サスペンス映画として佳品ではないでしょうか。

 

「勲章は貰うのはやさしい。つけるのは難しい」映画のせりふです。

 

映画を見た当時弱冠24歳の私には今一つこの言葉が理解できませんでした。「あ、なるほど」と思えたのは確か30手前でした(頭悪いですね)。

この場合の勲章とは皆さんもお聞きになったことあるとは思いますが、アメリカの「名誉勲章」のことです。名誉勲章と言うのは「義務を超えた勇敢な行動、あるいは自己犠牲的行動を示した軍人」に授けられるそうです(ですから生きてこれを貰った人は非常に少ないそうです)。人命が救われた行動の結果に対してが多いようです。

 

「義務を超えた」行動ですから昇進はなし、昇給もなし。二等兵は二等兵のままですが、仮に(受賞者が)二等兵であっても将軍から敬礼しなければならないそうです。まさに「名誉」であって実利はないといえそうです。

 

それでは貰うのは簡単でつけるのは難しいとはどういうことでしょうか。

結局貰うには「1回だけ」命がけで、捨て身で頑張ればいいということなんですけれど、ひとたび貰ってしまえば「名誉の人」「立派な人」のレッテルを貼られてしまうので、ずっと立派な振る舞いを要求されると言うことでしょう(生きていれば)。誰しも一度や二度は人から賞賛されるような立派な行いをすることは出来るでしょうけど、ずっと…は難しいです。

 

資格を取得するには専門学校で最低でも3年、大学では4年通わねばならず、技術職なので座学だけで身につくものではないですから、病院や施設に実習に赴き、すべてにパスしなければ卒業資格は得られませんし、国家試験受験資格も得られません。

 

そういう過程を経て得る資格ですから、今年はもとより昨年、一昨年同じように受験して来た人たちには、それまでの大変だった思いがあるでしょう。試験自体を「簡単だった」「やさしかった」と感じる人はいても、それまでの道のりが簡単だったと言える人は少ないと思います。

ですがどれほど大変だろうが、とりあえず3~4年頑張れば取れる資格なんです。昨年は合格率が低かったですけど、毎年90%以上の合格率がある資格なんです。どれほど辛かろうが先が見えている、大変さなんです。試験のその日まで頑張れば大体とれる資格なんです。

 

もっとあけすけに言えば勉強さえしていれば取れる資格です。人間性や社会性さえ(!!!)、さして問われません(少子化、大学全入時代というのはそういうことです)。

資格は取った、勉強をしなきゃいけないけど、まぁしなくても働き口はあるし、食うには困らないと安易に考えている人が多いようです。

とんでもないことです。勉強の密度こそ学生時代より薄くてもいいのでしょうけど、この稼業を続けていく以上、ずっと勉強しなきゃいけないんです。PTやOTになるためにこそわずか3~4年の勉強ですんだんでしょうが、続けるには定年までの40年前後を(こつこつと、少しずつでも)勉強に費やさなくてはならないということです。

 

いわば資格を取るまでの苦労大変さは短距離走で、資格を取ってからのそれは長距離走なんです。

 

冒頭の映画の言葉を言い換えると

「(セラピストの)免許を貰うのはやさしい。続けるのは難しい」

ということでしょうか。

3~4年間を大変だったと感じている者に、この先40年間を乗り切る覚悟があるのか?

勿論映画の台詞が理解できなかった私にも覚悟なんてありませんでした。

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