京都大原記念病院グループリハビリスタッフのあんなことこんなこと

あんなこと

遠藤

イメージを書き換える

2013年12月19日(木)

歩くから転倒する
体を起こすからベッドから落ちる
トイレに行こうとするから転倒する

 

一日の中で行動するきっかけはたくさんあります。
でも、痛かったり、しんどかったらあきらめることもある。
でも、立てないのに立とうとして失敗する人はたくさんいる。

 

そんな人たちは、立てないことを覚えていない。
もしくは、したいことが先にあって、気づいたら行動してしまっている。
できないことや痛くなることに思い当たるのは動いてから。

 

でも、そんな経験は誰しも怪我をしたときなどにあるでしょう。(もちろん、私もあります)

そんなときに、少々なら体勢を立て直すことができるのですが、

自分の想像以上に力が出なかったり、弱っていたりすると転倒したりします。
だから、こけそうになる人と、こける人が居ます。

 

こけそうになって、思い出して助けを呼ぶ人…もう少し弱ったら転倒している人です。
こけてしまった人との差はわずかです。
行動する前に助けを呼ぶ人とは同じ転倒していない人ですが、大きな差があります。

 

別に認知症だからということではなく、自分でしようと思うことは誰にでもあります。
まして、今まで自分でしていたことは、自然と自分でしようとしてしまいます。
だから、体を起こしますし、歩きますし、トイレに行きます。
自分の記憶している体の状態と、現在の体の状態に開きがあればあるほど、失敗が増えます。
ですので、そんな方には、いつも体を考えながら使ってもらうことに意味があります。

ただ動かしても、その動きの記憶は修正されません。
なぜなら、結果はともかく、本人は今までどおり動かしただけだからです。
なぜ失敗なのか?どこが違うのか?なにもわかりません。
だから動作や体のイメージを書き換えてはいません。
動いたら今日は失敗したというだけです。次につなげられません。

 

何気にするのではなく、
体をどう動かすのか考えながら、自分の動きを確認しながら使ってもらうことがリハビリになります。
これは、「今までとは違うこと(動き)」を「日常のこと(動き)」に置き換えるためのリハビリです。
回数をたくさんするだけでは得られない、
時間を長くすることだけでは得られない、
誰かに動かしてもらうだけでは得られない、
誰かに言われたとおりに動かすだけでは得られない、
自分で考えながら集中して動かすことで初めて得られるのです。

 

日常のあらゆる場面で、自分で何かをすることが大事なリハビリになります。
まずは自分がどんな動きをしているのか?自分で観察してみましょう。
何か自分の記憶との差に気づくかもしれません。

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