こんなことってけっこう大事 ~きばらないこと~
2012年4月11日(水)
「日々、リハビリの仕事をしていて、ちょっとしたことだけど大事だなぁ」ということを
ご紹介する不定期シリーズですが、相当なご無沙汰となってしまいました。
今回は、「きばらないこと」
リハビリをしている本人も家族もスタッフも真剣そのもの。
あと1回、あと1歩と努力されている姿をお見かけします。
そんな中、
こんなにがむしゃらにやってるのに、なかなか 巧く動かせない・・・・
という声をお聞きすることがあります。
みなさん、思い出していただきたいのですが、
学生の頃、運動会や競技会などで、
力みすぎて結果につながらなかった経験はありませんか?
どのスポーツでも、力んだり力任せにしても巧くいかないし、
車でも、初心者みたいに力んだら、蛇行カックン運転になるし、
料理のときの包丁だって、力任せにやったら危険極まりないですよね。
そんな身の回りのことを考えると、
「りきむ」「きばる」ことで、うまく動かせなくなることには「ガッテン!」ではないでしょうか?
病気や怪我で体を動かせなくなって、そんな不自由な中で、
力んだり、きばったりしてしまうと、もっともっと動かしにくくなることも少なくありません。
また、なぜかそんな悪い癖ほど身についてしまいやすく、取れにくい。
石に噛り付いてでも・・・
寝る間も惜しんで・・・
取り組む姿勢というか、不退転の決意というか、
そういったことは、気持ちの面で大事ですが、(それでも気負うのはいけませんね)
力まずに、きばらずに、
自分の体と向かい合い、どこがどう動くか感じながら、動かすこと、
とても大事なことです。
だからといって、そもそも運動量が少ないのはダメですよ。
きばらずに、どんどん動かしましょう。
印象に残る言葉①
2012年2月28日(火)
私が若かりし頃に通っていた高校では、
年に1〜2回、特別授業がありました。
それは、
学校から徒歩10分以内のところにある市民会館で、
演劇やミュージカル、講演などを聞くという授業でした。
といっても、
高校生の私には説教くさいと感じるような内容ばかりで、ほとんど覚えていません。
そんなさほど興味が無かった特別授業の中で、
強く印象に残っているフレーズがあります。
あるとき、
交通事故かなにかが原因で障がいのある方が講演に来られました。
(すみません。高校生の時なので記憶が定かでありません)
その方は、
冒頭の挨拶としてこんなことを言っておられました。
「こんにちは!私は○○です。」
「ここから皆さんを見ると、私と同じように障害を持った人が1/3以上いますね。」
・・・!?
「何を言っているの?とみんな思っていますよね」
「でも、眼鏡やコンタクトをしている皆さんは、私と同じ障がい者です」
「皆さんは、眼鏡を使わないとちゃんと見ることが出来ない、
私は、この車いすが無いと動き回ることが出来ない、同じですよね」
「要は、自分の身体では出来ないことがあって、これを障がいといいいますが、
それを道具でなんとかしている、ただそれだけなんです」
「障がい者を、外国人や宇宙人のように遠い存在だと思っている人も多いようですが、
みなさんにとって、とっても身近なことなんです・・・」
「メガネやコンタクトの人は障がい者」
頭に「ガツン」と響き、
今までの考え方をひたすら反省したこと、今でもよく思い出されます。
バリアフリーやユニバーサルデザインなど少しずつ住みやすい環境に進んでいますが、
心や行動では、まだまだ見直す必要があるように思います。
障がい者という言葉で特別扱いするのではなく、
メガネやコンタクト、杖、そして車いすが生活に必要な人として
身近なところから考えてみませんか?
こんなことって、けっこう大事 -方言-
2012年1月28日(土)
いきなりですが、
皆さんは地元で生活されていますか?
普段接する人は、地元同士でしょうか?
京都大原記念病院グループのリハビリでは京都出身は少数派です。
かく言う私も京都出身ではありません。
まだ新人の頃のことですが、
会話はできるものの、意思疎通がなかなかできませんでした。
会話はしているので、コミュニケーションはできていることになるのかも知れませんが、
リハビリテーションのためには、相互の共通の理解が重要だということもあって、
言葉として、正面から表面的に理解できていても、
言葉の意味や意図を知ることは案外難しく、
「えっ、そうなの?」と気付いて反省することもしばしばだった・・・と思い出されます。
そんな中で、
京言葉の意味やルールを教えてもらいながら、身にしみたことですが、
どの地方の方言にも特徴があって、
さまざまな表の意味や裏の意図があるということを忘れがちだなぁと。
それは、
標準語や自分の地方の言葉では理解できないような意味や意図かもしれないし、
都道府県民性を比較する番組などで取り上げられているような、びっくりすることもありますが、
もっと身近に小さなこともいっぱいある。
私の場合は、
ふいに京言葉が出てくるようになった頃から、利用者さんとの会話は弾むようになりました。
どんな地域で生活することになっても、
その地域の言葉に「慣れ、親しみ、使えるようになること」、
大事なことですね。
こんなことって、けっこう大事 -しんどいわぁ-
2012年1月17日(火)
京都大原記念病院は、リハビリテーションに積極的に取り組んでいます。
そんなリハビリをしていてよく感じることですが、
ちょっとした事だけれども、大事なことってあるなぁと、しみじみ思います。
と言うことで、
ときどき掲載シリーズ第1弾 「こんなことって、けっこう大事」
(ほんとうにシリーズ化して大丈夫なんだろうか….)
記念すべき第一回は、「しんどいわぁ」
リハビリテーションは、運動と同じく体を動かしますし、勉強と同じく頭を使います。
さらに、できないことをできるようにする作業ですので、
当然、しんどいことの方が多くなります。
そんなリハビリを、病気や怪我、障害をもっている方と一緒に取り組んでいるのですが、
ときどき患者様から、
「体が動かへんから入院してんのに、そんなしんどいこと、でけへんわぁ」
「そのやり方はしんどいし・・・、こんなやり方ではあかんか?」
という声が・・・・・・(時によっては激論になることも….)
そんなとき、こんなご説明をさせていただきます。
人間の体は、動かしたり工夫したりして、やった分だけ身につきます。
なので、しんどいからと、体をかばって動かしたら、かばい癖が身につきます。
そしてなぜか、悪い癖ほどなかなか取れないものです。
また、動かしやすいところは力も増えて動きやすくなり、動かさないところは成長しません。
だから、効果的なトレーニングはしんどいもの。
逆に考えると、
しんどいことを効率的にできれば、リハビリは効果的にすすむともいえます。
これは、リハビリだけに限らずいえることで、
ダイエットや健康目的のトレーニングでも、少しでもしんどいことをやっていれば、効果は絶大ということです。
だからといって、
しんどいだけでは、人間嫌になりますので、
どのトレーニングでも、楽しむことを忘れないでくださいね。
だいじなこと
2012年1月13日(金)
昨日また小耳にはさんじゃいました。京都大原記念病院への転院を「遠い」と言う理由で、見送った方がいたそうです。
うちの病院が選ばれなかったってことは、ある意味仕方がないことです。私たちの力不足なんでしょう。ただ遠い、近いで病院を選ぶ方もいるんだと考えると、残念でならないです。
回復期リハビリテーション病院への入院は、長く見ても150日間(当院はその半分くらいで皆さん退院します)ぐらいです。でもその後の生活は一体どれぐらいになると、皆さん考えてらっしゃるのかなぁ。
私たち京都大原記念病院では、平均在院日数80日間で、患者さんが退院後の(長い期間を)生活や仕事を少なくとも年単位で考えています。
考えていることとは患者さん自身の自立、家族の介護負担軽減、安心の退院生活です。
わずか数ヶ月の入院期間を過ごす病院を利便性で選んで、その後の長い人生を不自由に過ごしたいですか。
回復期リハビリテーション病院での入院とリハビリテーションは、その後の生活をどれだけ患者さん自身のみならず、家族さんも含めて、普通に暮らせるかというためのものです。
間違っても利便性(家から近いか遠いか)だけでリハビリテーション病院を選ぶものではありません・・・と「リハビリの寺子屋」にも書いています(だから読んで見てください)。