京都大原記念病院グループリハビリスタッフのあんなことこんなこと

こんなこと

橋本

家に帰る その2(あるいは、だいじなこと その3)

2012年6月07日(木)

今回私のブログは通算40回です。月平均6回の書き込みはネタ探しに大変かと思っていましたが、大変なのはネタではなくどう表現するかというところでした。書きたいこと言いたいことは明確なのですが、誤解のないように説明にこだわれば冗長になるし、簡略に過ぎると何が言いたいのかわからなくなるし…。今までに途中まで書いてうまくまとめられずにお蔵入りさせている話題がいくつもあります。私の中では書きたいことははっきりしているのですが、まとめられないというのは「時期ではない」という事かと今は仕舞っています。そういう話題もいずれ日の目を見ることもあるでしょう。

 

前回は家に帰るのが難しい患者さんについて書いてみました。

今回は患者さんの障害の程度も軽く、ご家族の受け入れも良く、在宅生活の準備さえ整えばすんなり帰れそうな(帰れた)場合について書いてみます。

 

時々スタッフからの症例報告で「試験外泊の結果、ご家族が(介護を)頑張って何とか在宅復帰いけそうです」と聞くことがたまにあります。患者さんの帰宅には前向きでも、介護に不安を感じていたご家族も、退院前の外泊でやっていけることがわかったと。

スタッフだけでなく患者さん本人もご家族も、数ヶ月の試行錯誤の末の自宅退院目前ですから、試験外泊がうまくいったと思うのも無理からぬところです。

ご家族が介護を「頑張って」というところに私は不安を感じます。介護というのは専業主婦の家事と一緒で休みがありません。介護の程度にもよりますが場合によっては1日24時間、1週7日間、1ヶ月30日、1年365日介護を続けなければなりません。たった一晩「頑張った」からその後の在宅生活を送れると考えるのは早計でしょう。

 

あまり頑張らない程度の介護でなければ、長く続けられないと私は考えます。

 

仮に無理ない介護プランだとしても、1年後患者さんもご家族も当然の事ですが1年分歳をとります。何もなくても1年分衰えます。1年後同じような生活が送れるとは限りません。1年後は良しとしても、5年後は?

患者さんも今より状態が悪くなっているのは間違いないでしょう。介護すべきご家族も今ほど介護が出来ない状態でしょう。

 

だから自宅復帰は難しいとか、しないではなく、今から手を打っておくべき事や、そうなった時どう対処する(つもり)か、ケアマネージャーは勿論の事私たち医療機関の者も考えて、患者さんやご家族に伝えておく必要があると思います。それが2012/1/13のブログ「だいじなこと」で書いた「安心の退院生活:安心の提供」だと考えています。

 

時々「介護を苦に心中」や「介護を苦に殺害」というニュースを目にするたびに思うのは、要介護者とご家族この二者を取り巻くケアマネージャーや在宅サービス事業所、医療機関の人たちはどう感じているのだろうという事です。ケアプランは適切だったのか、ご家族に過重な負担がかかっていなかったのか、そこまで追い詰められていて誰も気づかなかったのか。自問自答の日々だろうと思います。

 

われわれが患者さんやご家族と関わる以上、そういうことがあってはならない、起こさせてはいけない…そういう覚悟が必要な仕事なんです。

だいじなこと

だいじなこと(その2)

家に帰る(あるいは根付く)

 

次回私のブログは6/11です。

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