リハビリって、わりと身近な話
2012年6月25日(月)
皆さんは針に糸を通せますか?
たとえば、
手芸が得意なご高齢の方と、手芸をしたことがない若い子が一緒に手芸をします。
ご高齢の女性が「最近目が悪くなってねえ。力も衰えて重いものも持てないのよ。」と言いながら、
針に糸をなにげに通します。
そこで、
若い子に糸と針を渡すと、
頑張りますが、なかなか出来なかったりします。
そんな時、
ご高齢の女性は、若い子に
糸の先を斜めに切ったり、糸の先を舐めたり、糸や針の持ち方を教えてあげたりしますよね。
若い子も頑張ってやってみます。それでも、とっても時間がかかります。
そしたら、
「そういえば、あれが有ったわね。私は使ってないけれど…。」
って糸通しを出してきます。
その糸通しを若い子に渡して使い方を説明します。
そんなこんなで、
若い子は針に糸を通すことをできるようになりました。
これは若い子がご高齢の方にリハビリを受けたのと同じですね。
振り返って、リハビリに置き換えてみましょう。
ちょっとで大丈夫?
2012年4月15日(日)
以前のエントリ[川平法]で、
患者さんが自ら活動的だったというお話をさせていただきました。
近年話題の促通反復療法(川平法)ですが、
一つ一つの動きを100回やっていることも特徴のひとつだと思います。
自主訓練でも同じようなことだそうで、
立つ練習をするぐらいの人には、毎日100回200回と立ち座りの自主トレをされています。
もちろん、立つ練習をされるぐらいですから、一日100回200回立つなんて相当キツイ。
でも、慣れてくる頃にはしっかりと立てるようになる。
リハビリ以外の時間の使い方ひとつでも、大きく影響することを再認識しました。
さて、
前回のエントリで「リハビリはきばらないことが大事」とお話させていただきましたが、
どんどん動かして、運動量を多くすることも回復への近道です。
(※注 医師から動かないように指示されているなど、状態の悪い場合を除きます)
一見、相反することのようですが、
1回1回を大事にしながら、今の自分の課題に合わせて運動量を確保することはできます。
テレビCMの度に20回やったり、朝昼夜ご飯前後に50回ずつやったり・・・、
持久力が付いてくれば、朝夕で100回、その頃には出来るようになる。
そもそも、どんな事でもそうですが、
普段生活している中で運動していないとはいっても、まいにち結構動いているもの。
料理するのに40分、洗濯干すのに20分、スーパーでカートを押して30分、
結構立っている時間も長いし、あちらこちら行ったりきたりで立ち座りも何十回・・・。
ご飯食べるのに20分、歯磨きで5分、化粧に10分、その間ずーっと手は動いている。
大事なのは、
○○できるようになったら○○するのではなく、○○に取り組んだから○○ができるようになるということ。
(○○には勉強や野球・・・なんでも共通ではないでしょうか?)
症状や後遺症などいろいろあって、病気や怪我のあとには運動量が少なくなりがちです。
きばらず、気負わず、どんどん動いていきましょう。
こんなことってけっこう大事 ~きばらないこと~
2012年4月11日(水)
「日々、リハビリの仕事をしていて、ちょっとしたことだけど大事だなぁ」ということを
ご紹介する不定期シリーズですが、相当なご無沙汰となってしまいました。
今回は、「きばらないこと」
リハビリをしている本人も家族もスタッフも真剣そのもの。
あと1回、あと1歩と努力されている姿をお見かけします。
そんな中、
こんなにがむしゃらにやってるのに、なかなか 巧く動かせない・・・・
という声をお聞きすることがあります。
みなさん、思い出していただきたいのですが、
学生の頃、運動会や競技会などで、
力みすぎて結果につながらなかった経験はありませんか?
どのスポーツでも、力んだり力任せにしても巧くいかないし、
車でも、初心者みたいに力んだら、蛇行カックン運転になるし、
料理のときの包丁だって、力任せにやったら危険極まりないですよね。
そんな身の回りのことを考えると、
「りきむ」「きばる」ことで、うまく動かせなくなることには「ガッテン!」ではないでしょうか?
病気や怪我で体を動かせなくなって、そんな不自由な中で、
力んだり、きばったりしてしまうと、もっともっと動かしにくくなることも少なくありません。
また、なぜかそんな悪い癖ほど身についてしまいやすく、取れにくい。
石に噛り付いてでも・・・
寝る間も惜しんで・・・
取り組む姿勢というか、不退転の決意というか、
そういったことは、気持ちの面で大事ですが、(それでも気負うのはいけませんね)
力まずに、きばらずに、
自分の体と向かい合い、どこがどう動くか感じながら、動かすこと、
とても大事なことです。
だからといって、そもそも運動量が少ないのはダメですよ。
きばらずに、どんどん動かしましょう。
赤ちゃんの成長
2012年2月29日(水)
私事ですが、先日、第3子が産まれました。
子供の成長は、全ての親にとっていろんなものを与えてくれます。
特に、赤ちゃんの成長は感動してばかりですね。
また、私自身にとっては、
さらに学ぶことが多い機会でもあると感じています。
いままで、
第1子、第2子の成長の様子を身近に見ていて、
リハビリテーションの仕事に繋がるいろいろな発見があり、
座学や研修などでは手に入らない「気付き」や「理解」がありました。
試行錯誤していたり、あきらめたり、いきなり出来るようになったり・・・
日々さまざまな変化があり、その姿から学ぶことがあります。
たとえば、
何かをするとき、
我々にとって「簡単なやり方」と「難しいやり方」単純に思うことがあって、
そんなやり方では・・・・なんて見ていたりしますが、
赤ちゃんにとって、実は逆だったというようなことがよくあります。
試しに、
私が片麻痺治療中だった時期にやってみましたが、
「赤ちゃんが正しい!」 と思うことがいっぱいありました。
私の関わった患者様でもそういう風に言っておられることも多くありました。
我々は、赤ちゃんの頃から、
さまざまな試行錯誤をし、いろんな能力を身に付けて、
さらに高いレベルの能力を身に付けるという風に成長しています。
つまり、
我々が、簡単だと思う方法は、
高度な能力の習得があることで、成り立っていることが多くあります。
老若男女問わず、出来ないことに取り組むときには、
いきなり高度でスマートな方法を習得することはとっても難しいことです。
赤ちゃんのように、
簡単なことを一つずつ試行錯誤して身に付け、少しずつ難しくしていくことで、
ちょっとでも成長することが出来れば、今より出来ることも少しずつ増えていくのです。
千里の道も一歩から
急がばまわる気持ちで取り組むほうが結果が良いと思います。
新たに一から成長していく姿を見つめることができる機会に恵まれ、
いろいろな体験や発見が出来ることをとても楽しみにしています。
雛人形を飾って…
2012年2月13日(月)
先日、我が家に雛人形が届きました。
こんなことって、けっこう大事 -方言-
2012年1月28日(土)
いきなりですが、
皆さんは地元で生活されていますか?
普段接する人は、地元同士でしょうか?
京都大原記念病院グループのリハビリでは京都出身は少数派です。
かく言う私も京都出身ではありません。
まだ新人の頃のことですが、
会話はできるものの、意思疎通がなかなかできませんでした。
会話はしているので、コミュニケーションはできていることになるのかも知れませんが、
リハビリテーションのためには、相互の共通の理解が重要だということもあって、
言葉として、正面から表面的に理解できていても、
言葉の意味や意図を知ることは案外難しく、
「えっ、そうなの?」と気付いて反省することもしばしばだった・・・と思い出されます。
そんな中で、
京言葉の意味やルールを教えてもらいながら、身にしみたことですが、
どの地方の方言にも特徴があって、
さまざまな表の意味や裏の意図があるということを忘れがちだなぁと。
それは、
標準語や自分の地方の言葉では理解できないような意味や意図かもしれないし、
都道府県民性を比較する番組などで取り上げられているような、びっくりすることもありますが、
もっと身近に小さなこともいっぱいある。
私の場合は、
ふいに京言葉が出てくるようになった頃から、利用者さんとの会話は弾むようになりました。
どんな地域で生活することになっても、
その地域の言葉に「慣れ、親しみ、使えるようになること」、
大事なことですね。
こんなことって、けっこう大事 -しんどいわぁ-
2012年1月17日(火)
京都大原記念病院は、リハビリテーションに積極的に取り組んでいます。
そんなリハビリをしていてよく感じることですが、
ちょっとした事だけれども、大事なことってあるなぁと、しみじみ思います。
と言うことで、
ときどき掲載シリーズ第1弾 「こんなことって、けっこう大事」
(ほんとうにシリーズ化して大丈夫なんだろうか….)
記念すべき第一回は、「しんどいわぁ」
リハビリテーションは、運動と同じく体を動かしますし、勉強と同じく頭を使います。
さらに、できないことをできるようにする作業ですので、
当然、しんどいことの方が多くなります。
そんなリハビリを、病気や怪我、障害をもっている方と一緒に取り組んでいるのですが、
ときどき患者様から、
「体が動かへんから入院してんのに、そんなしんどいこと、でけへんわぁ」
「そのやり方はしんどいし・・・、こんなやり方ではあかんか?」
という声が・・・・・・(時によっては激論になることも….)
そんなとき、こんなご説明をさせていただきます。
人間の体は、動かしたり工夫したりして、やった分だけ身につきます。
なので、しんどいからと、体をかばって動かしたら、かばい癖が身につきます。
そしてなぜか、悪い癖ほどなかなか取れないものです。
また、動かしやすいところは力も増えて動きやすくなり、動かさないところは成長しません。
だから、効果的なトレーニングはしんどいもの。
逆に考えると、
しんどいことを効率的にできれば、リハビリは効果的にすすむともいえます。
これは、リハビリだけに限らずいえることで、
ダイエットや健康目的のトレーニングでも、少しでもしんどいことをやっていれば、効果は絶大ということです。
だからといって、
しんどいだけでは、人間嫌になりますので、
どのトレーニングでも、楽しむことを忘れないでくださいね。
だいじなこと
2012年1月13日(金)
昨日また小耳にはさんじゃいました。京都大原記念病院への転院を「遠い」と言う理由で、見送った方がいたそうです。
うちの病院が選ばれなかったってことは、ある意味仕方がないことです。私たちの力不足なんでしょう。ただ遠い、近いで病院を選ぶ方もいるんだと考えると、残念でならないです。
回復期リハビリテーション病院への入院は、長く見ても150日間(当院はその半分くらいで皆さん退院します)ぐらいです。でもその後の生活は一体どれぐらいになると、皆さん考えてらっしゃるのかなぁ。
私たち京都大原記念病院では、平均在院日数80日間で、患者さんが退院後の(長い期間を)生活や仕事を少なくとも年単位で考えています。
考えていることとは患者さん自身の自立、家族の介護負担軽減、安心の退院生活です。
わずか数ヶ月の入院期間を過ごす病院を利便性で選んで、その後の長い人生を不自由に過ごしたいですか。
回復期リハビリテーション病院での入院とリハビリテーションは、その後の生活をどれだけ患者さん自身のみならず、家族さんも含めて、普通に暮らせるかというためのものです。
間違っても利便性(家から近いか遠いか)だけでリハビリテーション病院を選ぶものではありません・・・と「リハビリの寺子屋」にも書いています(だから読んで見てください)。