京都大原記念病院グループリハビリスタッフのあんなことこんなこと

へんなこと

土井

退化しているのかもしれない

2012年9月01日(土)

私の父は団塊の世代に近く、もう定年は過ぎたのですが、

長く勤めた会社に再就職しています。

定年して、少し経った頃、

普段殆ど父と話すことのない私から、久しぶりに話しかけました。

「定年過ぎて、なんの仕事をしてるの?」と聞くと、

「技術指導員、普段たいした仕事は無い」とのこと。

「大手はすごいねぇ」と言うと、

「今は工場の殆どがコンピューター制御だけれども、

ちょっとでもトラブルがあったときに、

数値やマニュアルだけで判断して操作すると危ないから、

そんなときは少しくらいは役に立つ事があるんや」

とのことでした。

なんでも、

工場がコンピューター制御に切り替わる直前に、

プラントをコントロールする仕事をしていたそうです。

たしかに、私が小中学生の頃、

20時ぐらいに「ただいま」と帰ってきて、

夕食も食べ終わらないうちに工場から呼び出され、

たびたび工場へ戻っていたなぁと、思い出しました。

 

何でもかんでも自動制御され、簡単・正確・高速に出来る時代ですが、

その作業は、コンピューターの進化とともに、

机上の理論や知識だけでなく、職人の技術や経験を

コンピューターにうつしとるようにして作られたものが多いそうです。

ワンクリック、ワンプッシュの向こうには、

人間の叡智が詰まっているのですね。

 

周りには、ワンクリック・ワンプッシュなど、ワンアクションで操作できたり、

自動的に出来上がったり、魔法のようなグッズがたくさんあります。

そんなグッズを使うとき、

なにがどうなってそういう風になっているのか?

そして、何に気をつけなあかんのやろう?

そんな事をふと思う事があります。でも全く見当もつきません。

それに、

ワンアクションで操作する物なんて、

技術も経験も必要ないし、危機感もほとんど感じないし、

作った人以外は、何も考えなくても良いような物なのかもしれません。

そういえば、説明書に危ないと書いてなかったら、

使った人がどんなに不注意で乱暴でも、製造・販売した会社が謝罪してますね。

 

便利な機械が無いと出来ない、

教えてもらわないと出来ない、

リスクに気づく事が出来ない、

そんな便利さに囲まれた世代のために、

引退した人の経験が延々と必要になるのかと思うと、複雑な気持ちになります。

私も、ちゃんと本質を身に付けたいと思います。


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