京都大原記念病院グループリハビリスタッフのあんなことこんなこと

こんなこと

岩崎

1本の電話

2013年11月21日(木)

昨日の夕方、病院に1本の電話がかかってきました。

それは6年以上前にご入院されていた方でした。

直接担当ではございませんでしたが私の事を覚えて頂いておりました。

電話を受けるなり、その声を聞き当時の姿を思い出しました。

「お久しぶりです。私、今握力が20㎏になりました。5kg増えました。」

「嬉しくて嬉しくて仕方がなく、電話致しました。」

※たがが5kgの改善は誤差の範囲と言ってしまえば、そうかも知れません。

 しかし、6年の歳月から見れば身体的維持と管理は大きな事であると思えます。

話を聞きながらも、この6年間は直接リハビリを施行した訳でもございません。

それがなぜ?

「自宅での役目」が最大のリハビリであったのでしょう。

当時、子供さんはまだ学生であり、介護が必要なお年寄りを抱えておられる家族でした。

その様な中、突然病気を発症。

本人を含め困惑と迷走の中でのご入院であった事を記憶しております。

 しかし、「私はやるべき事があるから」意思をしっかりと持ちリハビリに励んでおられました。

その後退院。

役目について

①介護の必要なお年寄りの送迎

 本人曰く、体がバラバラになりそうな送迎の日々でしたとの事(自動車を運転して送迎)。

②毎日の食事等の用意

 本人曰く、包丁が重い事。腕が上がらない事もあったとの事(自助具を使用しています)。

そうした中での+5kg。

これは、本人の努力もさる事ながら、周囲のサポートとご理解の賜物ではないかと思います。

常にそれを支えておられた家族は「やめさせる」を選択させず、「してみる、やらせてみる」を選択する勇気に感銘致しました。

最後にリハビリはサポートに過ぎません。

人の役目は与えられたものではなく自らの意思によって獲得しようとする権利、これ即ち復権を果たす事への一歩であると思うのです。


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