安全神話?②
2012年6月30日(土)
在宅に退院される人に関わるとき、
出来るだけ安全な環境が用意できるよう、車いすや手すり、段差解消などなど、
いろいろとお話合させていただく機会があります。
このとき、よく話題になりますが、
バリアフリーが浸透してきていることもあって、
段差をなくしたい・・・手すりをつけたい・・・安全な道具を・・・
と、ご本人もご家族も担当も検討されています。
そして、少しでも安全にと、いろいろと手を入れられるケースがほとんどです。
この「少しでも安全に・・・」は大事なことなのですが、
体が不自由ではない人が考える安全性は、実態にそぐわないことも多くあります。
手すりは安全・安心だからと、多めに希望されるケースがありますが、
ご本人がぱっと触るところに無かったり、ご本人の希望する導線に無かったりして、
あとで、ほとんど使ってないとお聞きすることもあります。
そもそも、
年とともに身体機能の低下とともに、環境に順応することができにくくなるものですが、
今までの生活で、自宅内や常用している場所や身のこなし、歩数まで・・・
いろんなことを、感覚的に覚えているケースも少なくありません。
そんなケースでは、
中途半端な段差解消や導線変更、敷居用のスロープなどに順応できず、
リスクが高まるケースも多くあります。
(これって、元気な若い人でも模様替えの後とかで「お~っと」ってなることありますね)
また、
敷居ぐらいは跨げる人に「オールフラット」を提供してしまうと、
足を挙げない家の中での移動動作が身についてしまって、
次第に、数ミリ程度のところにも躓きやすくなることだってあります。
つまり、
安全のために配慮して、リフォーム・改造・導入したものが、
ご本人の危険回避につながらないことも少なくないのです。
できる限りの安全の事を最優先で考えると、
動作方法という名の行動制限をかけたり、改造したり、福祉用具を買ったり・・・
となってしまいますが、
ご本人の能力と安全性一辺倒ではなく、性格や行動、好み、慣れなどに配慮し、
「リスク」と「その人らしい生活」「安心して過ごせる環境」のバランスですので、
ケースバイケース、
じっくりと話し合う機会が重要だと思っています。